理路雑然 /-142-
2019年12月10日(火)
特集記事
理路雑然
今から10年前、政権交代となり鳩山政権の時だった。NHKテレビで「徹底討論ふるさと再生スタジアム」という番組があった。新政権は公共事業に対し厳しい政策をとり、時の前原国交大臣は、全国のダム事業の一時凍結、次年度公共事業費の15%削減などを打ち出した
これが何を意味するか。公共事業を多く抱える地方自治体や経済界からは不安や反発の声が上がった。一体何が「必要」で、何が「ムダ」な事業なのか。地域経済への影響と安全をどう考えるのか
出席者は(当時)宮崎県知事の東国原英夫、北九州市長で元民主党国会議員の北橋健治、法政大教授の五十嵐敬喜、千葉大教授の新藤宗幸、九州大教授の小松利光、ジャーナリストの江川紹子、九州建設業協会会長の谷村隆三
これだけ立場が違うメンバーでは結論が出るわけはない。政権支持派は選挙公約として国家予算のムダを排し「コンクリートから人へ」予算をシフトさせることは国民が支持したと主張する。それに対し「選挙で天下とったら何でもありきか?」「全てを支持したわけではない」「地方分権を揚げながら地方を疲弊させるのか」「地方の公共事業は民意。候補者は我が県だけは守ると約束していた」「ムダか必要か深慮がいる」
選挙は怖い。政敵の失策批判だけや、口先だけのもっともらしい話に乗ったその後の混乱はご承知の通り。同時に政権を預かる側も常に謙虚な姿勢をもつことが、その永続性を保つ道に違いない。深い教訓だ。