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佐世保港整備を見る/国際クルーズの2拠点が供用開始

2024年08月21日(水)

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三浦地区みなとまちづくり計画

俵ヶ浦地区用地整備図

佐世保港国際クルーズ拠点(浦頭地区)供用式典の様子

 佐世保港の概要を佐世保市の資料から見ると、『古くから軍港として栄え、国防の要や県北地域の物流拠点としての機能を果たしている。近代的な港湾整備は、1889年(明治22年)に第3海軍区佐世保鎮守府が開庁してからで、軍港として整備。1945年に終戦を迎え、一旦は軍港として幕を閉じたが48年には貿易港の指定を受けたが、50年に勃発した朝鮮戦争により、港湾施設の大半を米軍に接収され、再び軍港としての色合いを濃くした』とある。


 100年以上前から整備が始まり、その多くは軍港としての機能が多いが、ここでは近年における佐世保市が進めている港湾整備について触れることにする。(画像提供:佐世保市)
 


クルーズ船入港体制整備 2拠点での供用が開始


 佐世保港への国際クルーズ船受入整備は、三浦地区と浦頭地区で進められ、ことし6月に浦頭地区の供用開始が始まり、三浦地区と併せて大型クルーズ船の2隻同時入港が可能となった。


 三浦地区の整備は、2009年度~18年度の10年間で佐世保市が岸壁(水深10㍍、延長370㍍)、泊地(水深10㍍、約6・7万平方㍍)、国際ターミナルビル(通称・葉港テラス)改修(S造、約5000平方㍍)を整備。事業費は約71億円。


 また、浦頭地区の整備は、官民連携による国際旅客船拠点形成港湾として、国土交通省が岸壁(水深10㍍、延長370㍍)や泊地(水深10㍍、約9万平方㍍)。佐世保市が駐車場(約2万5000㎡、大型バス134台)、屋根付き通路(370㍍)、照明設備(24基)、臨港道路(690㍍)、岸壁給水施設、通船用浮桟橋など。カーニバル社が旅客ターミナル(S造、面積6500平方㍍)をそれぞれ整備した。事業費は約90億円。


 佐世保港は、22年11月に『みなとオアシス』として全国で157カ所目、県内では7カ所目の登録となっている。


三浦浦地区みなとまちづくり計画と鯨瀬ターミナル周辺機能再編事業


 三浦地区ではこれまで市民に開かれた親水空間を創出し、市内外の人々が交流する賑わい拠点を目指した土地活用を図ってきた。しかしながら、鯨瀬ターミナルの老朽化や狭いふ頭用地等の港湾機能の課題を抱えており、当該施設の再編に併せてエリア内全体の配置計画を検討。更なる賑わいの創出や利便性向上を図ることを目的に現在、公募実施に向けた準備を進めている。


 また、鯨瀬ターミナルでは、2012年度から延長90㍍の岸壁改修に取り組んでいる。早ければ、25年度に旧桟橋を撤去し、新設岸壁に可動橋を設置することで港湾施設改良事業は完工する。


佐世保港脱炭素化への取組


 佐世保港に関係する約40の企業・団体が参画し、①佐世保港のターミナルにおける脱炭素化の取組②ターミナルを経由して行われる物流活動(海上輸送、トラック輸送、倉庫等)や港湾を利用して生産・発電等を行う事業者(発電、鉄鋼、化学工場等)の活動に係る取組③ブルーカーボン生態系等を活用し吸収源対策の取組等を推進していく。


俵ヶ浦地区に佐世保港の土砂受入用地整備


 佐世保港は範囲が広いものの、港内で発生する浚渫土砂の受入地が無く、伊万里湾まで運搬し処分している状態。そのため、費用もかさむなどその対応に苦慮している。さらに、港内の別事業における土砂受入用地の確保も問題となっていることから、その解決策として新たに土砂受入用地として湾奥に面積約4・3㌶の埋立地整備を進めている。


 俵ヶ浦地区湾奥部にまた、23年度からは、地元漁船の係留施設の静穏度を確保するため俵ヶ浦3防波堤の延伸(延長80㍍)整備に取り掛かり、こちらは25年度の完成を予定している。
 そのほか、有福地区小型船係留施設、干尽地区護岸改良、大崎地区4物揚場(マイナス3・0㍍)改良や国が実施する前畑地区岸壁(マイナス10㍍)改良(直轄事業)なども整備を進める。
 今後も様々なニーズに対応するため、環境に配慮し市民の声を反映させながら佐世保港を中心とするまちづくりが進められ、近い将来新たなウォーターフロントとしての顔を見せてくれるだろう。


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